「身体が思うように動かないと、イライラする。でも、我慢して生きていくしかない」

以前、訪問先でそう話された方がいました。

怒っているというよりも、どこか悲しそうな声でした。

以前は自分でできていたことが、身体の変化によって少しずつ難しくなっていく。誰かに頼らなければならないことも増えていく。

その悔しさは、簡単に「分かります」と言えるものではないと思います。

ただ私は、つらい気持ちに共感するだけで終わるのではなく、

「今もできることは何だろう」
「どうすれば、やりたいことを続けられるだろう」

と、一緒に考えていきたいと思っています。

両手でつかまらないと立ち上がれない

その方は90代で、一人暮らしをされています。

近所のスーパーへ買い物に行き、食事もご自身で何とか用意されていました。掃除もできる範囲では自分で行い、難しい部分はヘルパーさんに手伝ってもらっています。

歩くことはできますが、続けて歩けるのは10分ほどです。

心臓や呼吸への負担に加え、もともと膝も悪く、痛みが強くなると身体を支えることが難しくなります。

立ち上がるときには、両手で物につかまらなければ立てません。歩いている途中にふらつく姿を何度か見たこともあり、私が訪問を始めてからも転倒されたことがありました。

ご本人は、膝の痛みだけでなく、足腰が思うように動かなくなったことにも強い苛立ちを感じていました。

立ち上がるときの変化については、最近、立ち上がるのに時間がかかる方へでも、実際の訪問で感じたことを詳しくお伝えしています。

お墓参りに自分で行けなくなった

あるとき、その方がお墓参りについて話してくださいました。

以前のように自分でお墓へ行くことが難しくなり、現在はお寺にお金を渡して、お墓のことをお願いしているそうです。

仏壇には生花ではなく、造花を飾られていました。

毎日買い物へ行けるわけではありません。歩くこと自体に負担があるため、お花を持って帰るのも大変です。生花を買い続けるには、お金もかかります。

それでも、ご本人にとっては「お寺にお願いできているから大丈夫」ということではありません。

自分でお墓へ行けなくなったことが悲しいのだと思います。

私は、

「気持ちがあれば、きっと伝わっていると思います。いつも仏壇をきれいにされているのは、見ていて分かりますよ」

とお伝えしました。

すると、その方は静かに、

「そうだといいねぇ」

と話されました。

無理に前向きな言葉で元気づけても、自分でできなくなった寂しさがなくなるわけではありません。

それでも、その方が今も大切にしている気持ちは、ちゃんと伝えたいと思いました。

共感するだけで終わりたくない

身体が思うように動かなくなることは、きっと悔しいと思います。

私自身も話を聞きながら、

「何か力になりたい」
「自分も、いつか同じようにできていたことができなくなるのだろうか」

と考えました。

だからこそ私は、「つらいですよね」「大変ですよね」と共感するだけで終わりたくありません。

すべてを以前と同じようにすることは難しくても、今できることはあります。

方法を少し変えたり、一人では難しい部分だけを誰かが支えたりすれば、続けられることもあります。

「我慢して生きていくしかない」と言われたとき、私は、

「でも、できることもいろいろあります。私も一緒に支えます」

といったことをお伝えしました。

痛みだけでなく「立てる」という自信のために

訪問では、膝の状態を確認しながら、鍼灸やマッサージ、ストレッチなどを行っています。

また、筋力の低下も気になったため、ご本人に合わせたトレーニングもお伝えしました。

トレーニングを取り入れたのは、単に筋力をつけるためだけではありません。

ご本人に、もう一度「自分は立てる」と感じてもらいたかったからです。

この方は施術を受けたあと、

「来てやってもらった後は元気になるから、歩く気になれる」

と話してくださいました。

施術後には買い物に出かけたり、庭で土いじりをしたりすることもあります。

私にとっては、施術後の身体の状態だけでなく、「歩いてみよう」「庭に出てみよう」と思ってもらえることも大切です。

重い土を運ぶ部分だけを手伝う

庭の土いじりは、その方が以前から続けていることでした。

ところが、使いたい土があっても、買って持ち帰ることができません。土は重く、歩くことに不安がある方が自分で運ぶのは難しいからです。

そこで一度、私が代わりに土を買って持って行きました。

ご本人は、とても喜んでくださいました。

ただ私は、何でも代わりにすればよいとは考えていません。

ヘルパーさんなど、ほかの支援者の仕事や役割もあります。また、周りが手伝いすぎることで、ご本人が「自分でやってみよう」と思う気持ちまで奪ってしまうこともあります。

私が大切にしているのは、とてもシンプルです。

できることは、ご自身でしてもらう。

この方の場合、重い土を買って運ぶことは難しくても、庭で土いじりをすることはできます。

だから、難しい「土を運ぶ部分」だけを手伝い、その先の土いじりはご本人に続けてもらいました。

すべてを代わりにするためではありません。

その方が自分でできることや、好きなことを続けるためのお手伝いです。

10分でも、自分で決めて外へ出る

現在も訪問は続いています。

朝食をきちんと取ってもらうため、朝の決まった時間に訪問するようになり、以前より食事の時間も少しずつ定まってきました。

そして今、ご本人は自分で、

「1日1回は家の外に出る」

と決めています。

長い時間ではありません。10分のときもあれば、20分ほどのときもあります。

それでも、誰かに言われたからではなく、ご本人が自分で決めて外へ出ていることに意味があると思います。

すべてが以前の状態に戻ったわけではありません。膝の痛みや身体のしんどさがなくなったわけでもありません。

それでも、買い物へ行く。庭に出る。土に触れる。

今できることを、ご自身の力で続けています。

朝の訪問をきっかけに、起床や食事の習慣を整えていった実際の関わりは、「このままじゃダメになってしまいそう」生活全体を見る訪問鍼灸で詳しくご紹介しています。

できることを奪わず、一緒に方法を考えたい

以前できていたことができなくなると、イライラしたり、悲しくなったりすることもあると思います。

その気持ちを無理に前向きな言葉で変えようとは思いません。

ただ、「もう我慢するしかない」と、すべてを諦めてほしくもありません。

身体を少しでも動きやすくすること。
今もできることを見つけること。
方法を変えれば続けられることを、一緒に考えること。

そして、ご本人にできることまで代わりにせず、一人では難しい部分だけを支えること。

それが、その方らしい生活を続けることにつながると、私は考えています。

ギフト訪問はりきゅう院では、痛みや歩き方だけでなく、その方が普段どのように暮らし、これから何を続けたいと思っているのかも大切にしています。

あなたがあなたらしく生きていくために。

今できる方法を、一緒に考えさせてください。

まずは無料相談から

「家の中では歩けるけれど、外出が不安になってきた」
「立ち上がるときに、両手でつかまるようになった」
「以前できていたことを、少しずつ諦めるようになっている」

このような変化が気になる方は、一度ご相談ください。

ご本人だけでなく、ご家族やケアマネジャーの方からのご相談も承っています。

相談したからといって、その場で利用を決めていただく必要はありません。身体の状態や生活の様子を伺いながら、訪問鍼灸でどのような支援ができるかを一緒に考えます。

対応地域は、高槻市・茨木市・枚方市・島本町です。その他の地域についてもご相談ください。

電話受付:8:00〜20:00

Q1. 家の中を歩ける人でも、訪問鍼灸を相談できますか?

家の中では歩けても、長時間の歩行や一人での外出に不安がある方もいます。身体の状態や外出の難しさなどを確認したうえで、訪問が可能かご案内します。

Q2. 訪問では、鍼灸以外にどのようなことをしますか?

身体の状態に応じて、筋肉をほぐす施術、ストレッチ、関節運動、無理のないトレーニングなども行います。内容は一人ひとりの体調や目標に合わせて考えます。

Q3. 買い物や家事もお願いできますか?

訪問介護の代わりとして、買い物や家事全般を行うサービスではありません。ただし、施術の際にできる1〜2分程度の「ちょこっとサービス」で、ご本人の生活や、やりたいことを支えられる場合があります。内容については事前にご相談ください。